笠岡市 めがねと補聴器専門店・ツザキが お店の日常と 小さなまちでの活動などを綴ります

2012-02-17

プロフィール考 / ジャズ大衆舎 on web #8

プロフィール考

クラシックの音楽家の紹介文-プロフィール-というのは、だいたいにおいてつまらない。○○音楽大学を主席で卒業、△△氏に師事、××コンクールで優勝、□□と共演…、てな具合で、その音楽家がいかに優れた才能を持っていて素晴らしい音楽をやるか、ということを権威主義的に羅列するだけ、というのが多い。だいたい、どこの大学を出ようとコンクールでどうであろうと、そんなことに興味のない筆者のような人間にとっては、どうでもいいことだ。

だが、そういうことを書かなければならない事情があるということも、(具体的にどういうことであるかはここでは措くとして、)まるで理解しないわけではない。だから、自分が催す演奏会のチラシにも、学歴、コンクール歴等も掲載するわけだが…。

しかし、それだけに終わるとすれば、いかにもさびしい。

その人の音楽に真面目に接しようとする人にとっては、その人が何をしようとしているか、ということにこそ興味を抱くのではないか。また、逆にそのことが示し得ない音楽家であるならば、私たちは耳を傾ける価値は無いのではないか。

演奏会は、音楽家の表現の場であることはもちろんだが、催す者にとっても表現の場である。どうして、その音楽家の表現の場を催そうとしたのか、聴きに来て下さったお客さんに伝わらなければならない。必ずしも人数が多いわけではないが、当舎の演奏会なら必ず聴きに行く、とおっしゃって下さる方がいらっしゃる。そうした信頼は、やはり、じっくりと聴くに値する音楽を継続的に提供することで築くことが出来るものだろう。プロフィールは、そのための手引きであって欲しい。



何をやるか、という視点から言うと、いささか焦点を外すことになるが、プロフィールに書けないプロフィールというのもあってもいいだろう。

あるミュージシャンから聞いた話。

観光ビザで渡米し、ニューヨークのレストランでアルバイトをしながら、夜は修行を兼ねてジャズの店で演奏していたが、就労ビザを持っていないことが当局に知れて、強制送還された…。彼は、もちろん、学校で音楽の教育なんか受けていない。月刊誌「ジャズライフ」の終わりの方に掲載されている、アドリブの楽譜なんかで、ジャズを勉強したと語っていた。

こういう音楽家もいるんだよねえ。



 (全文・主催者 写真,html-edit・optsuzaki)