笠岡市 めがねと補聴器専門店・ツザキが お店の日常と 小さなまちでの活動などを綴ります

2017-03-23

積み重なる悲しみ


定期の血液検査を受けていると、母が電話をしてきた。

最近は、携帯電話を操ることが十分できなくなった。家の電話からかけていることは、“自分でベッドから無理やり降りている”ということを即ち表すわけで、診察が終わってすみやかに帰宅した。

部屋についてみると、父親がベッドの横で立ち往生しているものの、まずは転落とか大きな事故とかでないことがわかり、ホッとした。

伝えたいことは具体的なのだが、無意味にこだわり、ひどく怯えている。

自分のして欲しいことがうまく伝えられない時、母はとても悲しむ。自在に言葉が繰れた人の、老境の伝える不自由さは、長く共に過ごした自身の動かない足以上に、歯がゆく、ままならないようだ。

耐え、強く生きてきた人に、与えられる苦しみは何の試練か。それは、どうしたら分かち合えるのだろう。